【論  文】
ごみ焼却炉排ガス再燃焼浄化システムにおけるダイオキシン類の熱分解および再生成の特性評価
奥 澤   務*・河 崎 照 文*・高 橋 正 典*・野 本   悟*・石 丸   等**・小 山 一 仁**・谷   道 成**

【要 旨】 ごみ焼却に伴って発生するダイオキシンを含む排ガスを再燃焼させることにより高温分解して浄化するシステムであるスーパークリーンシステムの開発にあたり,一般廃棄物ならびに産業廃棄物処理施設の実ガスを利用した実証試験および小形モデルによる基礎実験の双方により0.1〜0.01ng-TEQ/m3N以下を実証し,かつ次のような知見を得た。高温場での高温分解および冷却過程でのダイオキシン再生成抑止に関し(1)飛灰,塩化水素およびダイオキシン類前駆体の共存により高温場でもDXN再生成反応の発生があり,それが高温場での熱分解効果を抑制すること,および(2)250−400℃の温度域での排ガスの滞留時間が冷却過程におけるダイオキシン類再生成と相関が伺えること,(3)飛灰濃度,塩化水素濃度およびダイオキシン類前駆体濃度の2乗の積,すなわち,飛灰濃度×塩化水素濃度×2,4,6-トリクロロフェノール濃度^2の形で減温器出口のダイオキシン類濃度の上限が推定できることを報告する。

キーワード:ごみ焼却炉,排ガス処理,ダイオキシン類,熱分解,再生成
廃棄物学会論文誌,Vol. 12, No.1, pp.1-9, 2001
原稿受付 2000.1.14 原稿受理 2000.10.25
*(株)日立製作所 電力・電機G 電力・電機開発研究所
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