【論 文】
建設汚泥の改良に関する基礎的研究
渡 邉 勉*・小 宮 一 仁*・清 水 英 治*
【要 旨】 泥水式加圧シールド工法による現場や推進式シールド現場から発生する建設汚泥を対象に,有効利用するための改良試験を行った。試験は高吸水性ポリマーを添加し,汚泥から一時的に水分を取り込み流動性を抑える改質試験と,高吸水性ポリマーだけでは強度発現が困難な汚泥に特殊固化材を添加し,建設省「建設発生土利用技術マニュアル」の第一種〜第四種建設発生土(改良土)の基準値以上を目指す改良試験とを行い,新しい建設材料として有効利用できるか,種々の試験を行った。
その結果,建設汚泥に高吸水性ポリマーを0.5〜0.7%,特殊固化材を13〜18%添加することによって,第二種の改良土以上に改良されることがわかった。また,ポリマーおよび固化材の種類による添加割合は,発生汚泥によって異なることもわかった。
なお本研究では,改良土の長期材令における強度変化を調べた結果,空中・水中養生ともに,強度増加の傾向が認められ,ポリマー・固化材を添加した改良土の長期安定性について確認した。
建設汚泥が,若干のポリマーと特殊固化材を添加することによって,埋め戻し,盛土,裏込め,築堤,造成などの新しい材料として有効利用できることを確認した。
キーワード:建設汚泥,高吸水性ポリマー,強度,長期安定性,シールド工法
廃棄物学会論文誌,Vol. 12, No.1, pp.10-16, 2001
原稿受付 2000.5.25 原稿受理 2000.11.17
*千葉工業大学 工学部 土木工学科
連絡先:〒275-0016 千葉県習志野市津田沼2-17-1
千葉工業大学土木工学科 渡邉 勉