【要 旨】 散乱ごみの分布特性や蓄積要因について定量的に検討された事例は少なく,モラルの向上といった意識問題以外には有効な散乱防止施策に結びつくような検討もあまりなされていない。本研究では,散乱飲料容器ごみの分布特性を空間的かつ時系列的に分析することにより,散乱ごみの発生と集積に影響する様々な要因について定量的に検討した。調査対象地域に滋賀県草津市の駅前通りの歩道(総延長約1.52km)を選定し,デジタルカメラを使用した精細な計数方法により3カ月間に毎週2回で計25回の散乱飲料容器増減数調査を行った。調査地域を16区画に分類して分析した結果から,空き地・駐車場前における散乱ごみ現存数が一般住宅や店舗の前と比較して3倍程度になること,週末の散乱ごみ新規発生数が平日の値の2倍近いこと,現場に残留している飲料容器ごみの数量が散乱飲料容器ごみの新規発生と集積に有意に寄与していることがわかった。
キーワード:散乱ごみ,ごみ集積効果,飲料容器,分散分析
廃棄物学会論文誌,Vol. 12, No.2, pp.68-74, 2001
原稿受付 2000.6.26 原稿受理 2001.1.29
* 立命館大学理工学部
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立命館大学理工学部環境システム工学科 天野 耕二