衝撃圧縮による有害有機化合物分解処理技術の提案および実証実験
遠 藤 琢 磨*・八 幡 大 介**,***・藤 原 俊 隆**

【要 旨】 固体状の有害有機化合物を衝撃圧縮によって瞬時に化学的に分解する新しい処理技術に関して,その処理技術の原理および実証実験の結果を記述した。この処理技術は,分解すべき標的物質を衝撃波反射容器に封入し,これに高速の飛行体を衝突させ,標的物質を超高圧状態に衝撃圧縮して瞬時に化学的に分解するものである。この技術の実現可能性を実証するため,1,3,5-トリクロロベンゼンを標的物質として分解実験を実施し,これに成功した。また実験では,衝撃波反射容器の壁厚に対する分解率の依存性も調べた。実験の結果,標的物質の分解率は衝撃波反射容器の壁厚に対して強い依存性を示し,その依存性は,流体力学的な考察により,本分解技術の動作原理と矛盾なく,定性的に,理解できた。

キーワード:有害有機化合物,分解処理,高速衝突,衝撃圧縮

廃棄物学会論文誌,Vol. 12, No.2, pp.75-81, 2001
原稿受付 2000.7.18  原稿受理 2001.2.7

* 名古屋大学理工科学総合研究センター
** 名古屋大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻
*** 東レ株式会社 現所属

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名古屋大学理工科学総合研究センター 遠藤 琢 磨