産業廃棄物処理業の近代化脱皮への課題
――相次ぐ法改正下に対応するために――
大 塚 元 一*

【要 旨】 昨年,廃棄物処理法の改正のみならず,循環型社会形成推進基本法および各種リサイクル法の制定・改正がなされ,循環型社会に向けて法整備が進められた。廃棄物問題は,循環型社会という言葉に変えられたと感ずるほどである。産業廃棄物処理業界にとって,急ピッチの変革は戸惑いでもあるとともに,見方によってはビジネスチャンスでもある。しかし依然処理業者への偏見,最終処分場等の危機的状況およびそれに伴う処分すべき廃棄物の適正処理システムの崩壊の恐れ,静脈産業の市場の病的現象など,産業廃棄物処理業界にとって乗り越えなければならない課題が山積している。
循環型社会の形成は,廃棄物問題の新しいスタートである。しかし歴史の上に築かれてきた廃棄物に対する企業および国民の「負」の思いを,急激に変革することは難しい。産業廃棄物処理業者は,「負」からスタートしなければならないことを理解していただきたい。

キーワード:社会的偏見,業界自主基準,処理施設の危機的状況,市場形成,循環型社会

廃棄物学会誌,Vol. 12, No.2 pp.96-105, 2001
原稿受付 2001.1.9

* 社団法人全国産業廃棄物連合会 専務理事
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