【特集:固体系廃棄物と地盤環境】
固体系廃棄物の地盤工学的有効利用と環境影響の概況
嘉 門 雅 史*・勝 見   武**

【要 旨】 建設分野は多量の建設資材を必要とすることから,廃棄物の有効利用先として「最も量を受け入れることができる分野」として期待されている。特に地盤工学の分野では,廃棄物を土として有効利用するための取り組みがなされてきた。そこで本報告では,まず,廃棄物を地盤材料としてみたときの工学的特性,廃棄物や発生土を地盤材料として有効利用するための技術の概要を紹介する。一方,廃棄物を地盤材料として利用するにあたっては,地盤環境に悪影響をおよぼすことがないよう十分に配慮しなければならないことから,その評価方法についての議論の現状を述べる。最後に,廃棄物の有効利用が進まない一因として制度ならびに制度を運用するにあたっての誤解や解釈上の問題点が指摘されることから,廃棄物の再生利用を推し進めるにあたっての制度の運用のあり方について論じる。

キーワード:土,廃棄物,地盤材料,有効利用,重金属,地下水汚染,環境地盤工学

廃棄物学会誌,Vol. 12, No.3 pp.140-149, 2001
原稿受付 2001.4.16

* 京都大学教授 防災研究所地盤災害研究部門
** 立命館大学助教授 理工学部土木工学科
連絡先:〒611-0011 宇治市五ヶ庄京大防災研究所 嘉門 雅史