【論 文】
最終処分場の機能向上と建設費の低減化に関する研究
小 谷 克 己*・古 市 徹*・石 井 一 英*
【要 旨】 最終処分場の建設に対して住民の合意を得るには,単に理論的な安全性だけでなく,住民に安心感を与え,住民が処分場建設計画のどの段階でも参加しやすいものとしなければならない。
住民(造られる側)はより高い安心感を得るために,安全性に深く関係する処分場の機能を高める要求を話し合いの場で求めることになる。一方,行政(造る側)は機能向上を行う分だけ建設費が高くなり,公共事業費の制約下では実現が困難と考えるため,話し合いが進まなくなる。
本論文はこのような背景のもとで,トレードオフ的と見なされる機能向上と建設費低減との関係を検討し,高機能で建設費が安い処分場の実現可能性を提案しようとするものである。そのために,32の事例を分析し,建設費と安全性に最も関係がある処分場立地タイプについて,3つのタイプごとにそれぞれモデル処分場を提案し,建設費を算出した。そして,それぞれのモデル処分場に,現状で住民合意が得られやすい導入可能な高機能化を取り入れても,建設費はそれ程高くならないことを示した。
キーワード:地域融和,最終処分場,高機能化,建設費,立地条件
廃棄物学会論文誌,Vol.12,No.4,pp.153-162,2001
原稿受付 2000.10.30
*北海道大学大学院工学研究科
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北海道大学大学院工学研究科 小谷 克己