【調査報告】
産業廃棄物における災害の発生動向と安全上の問題点
若 倉 正 英*

【要 旨】 国内で排出される産業廃棄物は年間4億tonにも上っており,その処理やリサイクル,収集運搬の工程で様々な事故が発生している。特に製造技術の高度化や多品種少量生産への移行などに伴い,様々な原料や製品が産業廃棄物として排出され始めている。また,これらの廃棄物の再原料化や再生,燃料化などといったリサイクルの進行で,廃棄物処理に様々な反応や処理プロセスが導入されつつある。そのため,産業廃棄物処理のそれぞれの工程で一般廃棄物とは異なる事故も発生している。労働省(現厚生労働省)では産業廃棄物工程での火災・爆発事故の防止を目的として現状調査なども行っている。以前報告したようにわれわれも廃棄物処理における事故のデータベースを構築しており,収録事故件数は2,600件にまで増加している。そこで,この事故データベース,最近の重大廃棄物事故などの解析などを基に災害の発生動向と,安全化のための問題点の抽出を試みた。

キーワード:産業廃棄物,廃棄物処理,火災,爆発,安全
廃棄物学会誌,Vol.12,No.4,pp.259-266,2001
原稿受付 2001.2.5
*神奈川県産業技術総合研究所
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