【論 文】
収集効率と間接費用を考慮した中小事業所向け古紙回収システムの費用分析
鈴 木 慎 也*・後 藤 浩 成**・横 山 道 子***・山 本 和 夫***
【要 旨】 現在参加事業所が少なくその増加が求められている中小事業所向け古紙回収事業「東商エコリーグ」を対象として費用分析を行った。排出事業所が行う分別作業等を「間接費用」と捉え,直接費用との合計値とごみ処理手数料の大小関係を比較し,排出事業所に参加のインセンティブを与え得る回収方式の検討を行った。収集効率の違いが参加事業所の増加を通して回収料金,間接費用にもたらす影響を比較するため2つの回収方式の費用分析を行った。回収料金の解析にはGISソフトのネットワーク解析機能を利用した。その結果,1F回収方式の場合は古紙排出作業を費用として計上すると参加事業所数に関わらずごみ処理手数料を上回った。フロア回収方式の場合,収集効率低下による回収料金の上昇は参加事業所の増加により軽減された。また回収容器代金,床面積占有費用は古紙排出量が多いほど減少するため,古紙排出量の多い事業所に対して参加のインセンティブを与え得る方式となることが示された。
キーワード:中小事業所,古紙回収,収集効率,間接費用
廃棄物学会論文誌,Vol.12,No.5,pp.200-208,2001
原稿受付 2000.8.25
*福岡大学工学部土木工学科
**東京都リサイクル事業団体連合会
***東京大学環境安全研究センター
連絡先:〒814-0180 福岡市城南区七隈8-19-1
福岡大学工学部土木工学科水理衛生工学実験室 鈴木 慎也