【論 文】
食品残渣を対象とした循環・資源化処理方式のライフサイクルアセスメント
平 井 康 宏*・村 田 真 樹**・酒 井 伸 一***・高 月 紘*
【要 旨】 家庭由来食品残渣の処理方式4種(焼却,メタン発酵+残渣焼却,メタン発酵+残渣堆肥化,堆肥化)を対象としてLCAを行った。環境影響領域として地球温暖化,酸性化,埋立地消費,有害物質によるヒトへの健康影響をとりあげDistance to Target(DtT)法による重み付け評価をした。有害物質としてはダイオキシン類および重金属類を取り上げ,3種のMackayモデルを用いた特性化を試みた。メタン発酵を含むシナリオは含まないシナリオに比べ,環境負荷を低減する傾向にあった。堆肥化は焼却処理に比べ温室効果ガス排出が多いが,DtT法による評価では埋立量削減の効果がこれを上回った。有害物質による影響は用いる特性化係数によって異なり,定常モデルでは農地への重金属排出による影響がダイオキシン類の大気排出による影響より大きいと評価されたが,100年間の影響を見る動的モデルでは,ダイオキシン類の大気排出が支配的な影響を持つと評価された。
キーワード:ライフサイクルアセスメント,堆肥化,メタン発酵,ダイオキシン類,重金属類
廃棄物学会論文誌,Vol.12,No.5,pp.219-228,2001
原稿受付 2000.12.11
*京都大学環境保全センター
**(財)日本品質保証機構
***国立環境研究所
連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学環境保全センター 平井 康宏