循環型社会形成推進基本法の意義と課題
大 塚   直*
【要 旨】 大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会における一方通行を基調とするモノの利用により,生産の各段階で質・量両面にわたって環境負荷が増大するとともに,廃棄段階では最終処分場を巡る種々の問題が発生している。これらの問題を解決するためには,物質の循環をトータルに考察する必要がある。このような観点から,筆者を含めた「総合法制ワーキンググループ」は1998年に廃棄物とリサイクルを一体とした総合法制(枠組法)の提案を行った。総合法制の内容としては,第1に,各主体の責務規定を入れ,拡大生産者責任を法的に明確化する必要があること,第2に,発生抑制やリサイクルを優先する施策の優先順位を確立することが必須であること,第3に,目標設定と計画的対応の必要があることを指摘した。
本稿では,2000年に制定された循環型社会形成推進基本法の概要を述べ,同法ならびに廃棄物の処理および清掃に関する法律の改正の一部について,上記提案がどこまで達成され,どの点が課題として残されているかを検討する。
キーワード:物質循環,拡大生産者責任(EPR),循環型社会形成推進基本法,各主体の適正な役割分担(Shared Responsibility)
廃棄物学会誌,Vol.12,No.5,pp.286-291,2001
原稿受付 2001.7.31
*早稲田大学法学部教授
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