【特 集:リサイクル法制度】
使用済み自動車のリサイクルの諸問題と法整備に向けての課題†
細 田 衛 士*

【要 旨】 使用済み自動車(ELVと呼ぶ)に由来する廃棄物の処理は,廃棄物問題の中で最も深刻な問題の一つである。産業廃棄物の最終処分場が枯渇間近になるにしたがって,使用済み自動車に由来するシュレッダーダスト(ASRと呼ぶ)の埋め立て処理は,日を追って困難になりつつある。豊島問題を契機に,使用済み自動車の適正処理・リサイクルは,懸案の課題であり,長い議論が進行中である。本論文では,これまでEVLの処理・リサイクルがどのようになされてきたか,ASR処理の問題点はなにか,ということを中心に論じる。この議論によって,なぜEVLの適正処理・リサイクルのための法制化が必要なのか理解されるだろう。それと同時に,透明性の高い,そして滞りのないリサイクルを妨げている障害がなにか,ということについても論じる。

キーワード:ELV,ASR,拡大生産者責任,リサイクル,最終処分場
廃棄物学会誌,Vol.12,No.5,pp.292-302,2001
原稿受付 2001.7.24
*慶應義塾大学経済学部
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