家電リサイクル法,容器包装リサイクル法の問題点とリサイクル法制度の課題
熊 本 一 規*
【要 旨】 循環型社会創りが鳴り物入りで進められている。95年容器包装リサイクル法,98年家電リサイクル法に加え,2000年には循環型社会形成推進基本法および関連五法が成立した。
しかし,これらの法律は循環型社会創りの方向を決定的に誤らせるものである。世界の潮流になっている拡大生産者責任を歪曲し,生産者による費用負担を極力避けた法律だからである。そして,拡大生産者責任を歪曲したことのしわ寄せは,自治体および市民に押し付けられようとしている。
その結果生まれるのは,税金および消費者の直接負担によるリサイクル産業興しであり,低品質高価格のリサイクル製品の氾濫であり,不法投棄の横行である。今後,全国のあらゆる私有林が,放置された不法投棄物のため,環境汚染源になることは疑いない。
循環型社会創りの方向を正していくための鍵は,拡大生産者責任を実現し,廃棄物の処理・リサイクル費用を製品価格に内部化することである。
キーワード:拡大生産者責任,外部費用の内部化,税金負担のリサイクル産業興し,低品質高価格のリサイクル製品,不法投棄
廃棄物学会誌,Vol.12,No.5,pp.303-308,2001
原稿受付 2001.6.29
*明治学院大学 国際学部教授
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