【論  文】
焼却残渣主体の埋立地における亜酸化窒素の発生機構に関する研究
立 藤 綾 子*・松 藤 康 司*・花 嶋 正 孝*
【要 旨】 昨今,地球温暖化は益々深刻な問題となっている。しかし,温室効果ガスの発生源の中で重要な位置を占めている廃棄物処理,特に,制御が難しい廃棄物埋立地における温室効果ガスの発生量およびその削減対策等についての研究例は少ない。特に,埋立地における亜酸化窒素の発生メカニズムおよびその発生量等についての知見はほとんどない。
そこで,本研究では,埋立地を模擬した埋立模型槽実験を行い,近年埋立廃棄物の主体となっている焼却残渣の埋立地におけるN2O生成プロセスを明らかにすることを目的として検討を行った。
その結果,焼却残渣主体の埋立地におけるN2Oの生成は,硝酸塩の化学的還元反応,アンモニア酸化細菌による硝化反応および脱窒菌の硝酸呼吸によって起きる可能性が高いことが明らかになった。また,硝化と脱窒は同一の場所で起きている可能性があることもわかった。
キーワード:埋立地,亜酸化窒素,生成機構,焼却残渣,硝化反応,化学的還元反応
廃棄物学会論文誌,Vol.12,No.6,pp.241-248,2001
原稿受付 2000.7.24
*福岡大学工学部土木工学科
連絡先:〒814-0180 福岡市城南区七隈8-19-1
福岡大学工学部土木工学科 立藤 綾子