【論 文】
植物系廃棄物の有効利用のための糖質成分のデータベース作成とD-キシロースの抽出方法
趙 昶 浩*・発 正 浩*・高見澤 一 裕*
【要 旨】 リグノセルロースは,多様な植物系廃棄物に豊富に存在している。リグノセルロースのうちヘミセルロースは,酸加水分解或いは酵素分解によりD-キシロースなどの単糖類が得られる。D-キシロースはキシリトール,ブタノールなどの原料になる。植物系廃棄物を有効利用する際に,一番不足しているのは植物系廃棄物の各々に含まれている成分の情報である。そこで,植物系廃棄物の有効利用のため,D-キシロースなどの糖質成分に関するデータベースの作成とその抽出方法に関して検討した。データベースの作成の結果,豆科の堅い殻はD-キシロースの含有量が高く,ピスタチオ殻,クルミ殻,ヒマワリ種の皮,麦のもみがらおよび栗の殻には100gあたり36g,18.7g,18.3g,17.1gおよび12.6gのD-キシロースが含まれており,D-キシロースの原料として有効であることが判った。また,Penicillium sp. AHT-1のキシラナーゼとRhizomucor pusillusのキシロシダーゼを用いたピスタチオ殻の分解の際,キシラナーゼおよびβ-キシロシダーゼの量を各々3,000U/gと33U/gとしたところ,ピスタチオ殻100gあたり36gのD-キシロースが生産され,100%の生産収率を示した。
キーワード:植物系廃棄物,データベース,D-キシロース,酸加水分解,酵素加水分解
廃棄物学会論文誌,Vol.12,No.6,pp.266-274,2001
原稿受付 2001.3.13
*岐阜大学農学部生物資源利用学科
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岐阜大学農学部生物資源利用学科 高見澤一裕