POPs条約の成立と今後の論点
細 見 正 明*
【要 旨】 残留性有機汚染物質(POPs)による地球的規模の環境汚染を防止するため,「POPsに関するストックホルム条約」が本年5月に採択された。その成立の過程では,予防的アプローチや途上国支援,さらにはダイオキシン類の廃絶,適用除外について議論された。同条約には,POPsの製造・使用の禁止・廃絶,排出の削減,POPsを含む廃棄物やストックパイルの適正処理などの対策が盛り込まれている。今後,新たなPOPsを生み出さない努力とこれまで製造使用されてきたPOPs,とりわけPCBや埋設された農薬類の適正処理を進めていくことが求められている。
キーワード:POPs,政府間交渉会合,ストックホルム条約,廃絶,予防的アプローチ
廃棄物学会誌,Vol.12,No.6,pp.338-348,2001
原稿受付 2001.10.15
*東京農工大学工学部 教授
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