高沸点有機ハロゲン化合物汚染の効率的な
調査・監視・対策のための測定方法
浦 野 紘 平*・加 藤 み か*
【要 旨】 POPs対策を促進するためには,迅速で簡便な測定方法が不可欠である。そこで,試料ごとの適切な採取方法や抽出・濃縮・精製・分画等を大幅に迅速,かつ確実にできる前処理方法について,最近の知見を紹介した。また,効率的な定量方法として,POPsやその分解生成物質等のすべての高沸点有機ハロゲン化合物を全有機ハロゲン計で塩素濃度として定量する「全SNVOX」や燃焼イオンクロマト装置で各ハロゲン濃度で定量する「ハロゲン別SNVOXs」,抗体抗原反応を利用して発色を分光光度計で測定するイムノアッセイ,およびGC/MSで非常に容易に分離定量できる2,3,4,7,8-P5CDF濃度あるいは自動連続測定も可能なクロロベンゼン類濃度からダイオキシン類濃度を推算する方法などを紹介し,効率的な前処理方法との組み合わせと特徴を解説した。さらに,工事中や定常時の環境汚染調査,環境や処理装置の監視,対策技術の開発・評価などの効率的な測定方法が必要な場合ごとに,有効な定量方法の選択の仕方を示した。
キーワード:高沸点有機ハロゲン化合物,POPs,ダイオキシン類,効率的測定方法,モニタリング
廃棄物学会誌,Vol.12,No.6,pp.376-385,2001
原稿受付 2001.10.10
*横浜国立大学大学院環境情報研究院
連絡先:〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-7
横浜国立大学大学院環境情報研究院 環境安全工学研究室 浦野 紘平