【展望論文】
再資源化技術としての高温高圧水反応の利用
佐 藤 伸 明*・大 門 裕 之*・藤 江 幸 一*

【要 旨】 廃棄物の再資源化技術のひとつとして注目されている高温高圧水反応について,高温高圧水の特徴を解説するとともに,再資源化技術への適用例や今後の可能性および課題について述べた。再資源化を目的とした高温高圧水による処理例として,プラスチック類や化学製品製造残渣など人工起源の廃棄物に加えて,セルロース系やタンパク質系廃棄物など天然物由来の廃棄物への適用例も紹介した。いずれの場合も,高分子廃棄物から低分子の目的物質を生成する分解反応によるものである。その一連の反応は一般に逐次反応であり,目的物質はその分解反応における中間生成物である。目的物質の収率を向上するためには,出発物質の分解を促し,かつ目的物質が分解しないように反応を制御する必要がある。
今後,高温高圧水反応を廃棄物の再資源化技術として応用・発展させるためには,高温高圧水中における化学物質の反応について,特に反応速度や反応経路に関する研究が求められる。

キーワード:超臨界水,亜臨界水,廃棄物,再資源化,加水分解
廃棄物学会論文誌,Vol.13,No.1,pp.1-11,2002
原稿受付 2001.4.27
*豊橋技術科学大学 エコロジー工学系
連絡先:〒441-8550 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
豊橋技術科学大学 エコロジー工学系 大門 裕之