【論 文】
事業系ごみの排出特性と家庭ごみ収集への混入について
天 野 耕 二*・松 浦 篤 史**・渥 美 史 陽***
【要 旨】 事業系ごみの排出特性と家庭ごみ収集への混入状況について詳細なデータ分析を行うことにより,家庭ごみ収集有料化制度における事業系ごみ排出経路選択の影響を定量的に評価した。家庭ごみ無料収集制度を持つ大津市と家庭ごみ収集の部分的有料化制度を実施している草津市における事業所アンケート調査結果より,大津市では家庭ごみ収集量実績の約18%が事業系ごみの混入と予想されたことに対し,草津市では事業系からの混入が家庭ごみ収集量実績の約5%にとどまっていることが確認された。さらに,家庭ごみ収集に関して何らかの有料化制度を実施している全国市制自治体を対象にヒアリング調査を行うとともに,日本全国を対象とした事業系ごみ排出特性を一般廃棄物統計や各種統計データにより分析した結果,家庭ごみ収集有料化実施に伴い,事業系ごみの混入が有意に減少している一方で,実質の家庭ごみ減量については有意と判断される程の効果がみられていないことがわかった。
キーワード:事業系ごみ,家庭ごみ収集への混入,家庭ごみ収集有料化,ごみ減量効果
廃棄物学会論文誌,Vol.13,No.1,pp.22-30,2002
原稿受付 2001.7.11
*立命館大学理工学部
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立命館大学理工学部環境システム工学科 天野 耕二