【論  文】
家庭ごみ排出特性に関わる指定袋配布制度の評価
天 野 耕 二*・松 浦 篤 史**

【要 旨】 ごみの減量に有効であるとされているごみ収集有料化制度の中でも,部分的従量制ともいえる排出指定袋の配布制度に着目して,ごみ減量に関わる政策要因と住民意識の詳細な分析を行った。家庭ごみ収集有料化制度を導入している日本全国の市制自治体を対象にヒアリング調査を行った結果,指定袋の配布枚数については,世帯規模別配布型では配布枚数を少なくする程ごみの減量に有効であることがわかった。指定袋配布制度を実施している滋賀県草津市において,指定袋に関する意識および家庭ごみの排出意識に関するアンケート調査を行った結果,可燃ごみ袋の無料配布枚数について,1人世帯で「多い」と思っている世帯が約40%ある一方で,5人以上世帯では約半数が「少ない」と思っていることを確認した。さらに,世帯人数よりも「無料で配られる袋の枚数が多いか少ないか」という意識の方が家庭ごみ排出量に強い影響を与えていることがわかった。

キーワード:ごみ収集有料化,指定袋配布制度,ごみ排出意識,ごみ減量効果
廃棄物学会論文誌,Vol.13,No.2,pp.63-70,2002
原稿受付 2001.7.11
*立命館大学理工学部
**日本電子計算株式会社
連絡先:〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1
立命館大学理工学部環境システム工学科 天野 耕二