廃棄物中有害金属類の自主管理のための
溶出試験方法の提案
田 崎 智 宏*・浦 野 紘 平**
【要 旨】 廃棄物から溶出する金属類による影響を予防的に自主管理する際に利用する試験方法として,溶出に大きな影響を及ぼすpH,溶媒の種類とその濃度,溶出時間について,実験と多くの文献値とから埋立処分場内で起こりうる溶出しやすい条件を明らかにした。すなわち,pHについては4.0〜9.5の範囲を検討すれば十分であり,pH4.0で溶出量が大きくなることを示した。溶媒については,浸出水中に存在する脂肪族カルボン酸を代表させた0.4M酢酸緩衝液と,芳香族カルボン酸類を代表させた0.005Mフタル酸緩衝液による溶出を同じpH4.0の硝酸溶液と比較検討し,0.4M酢酸緩衝液で溶出量が大きくなることを示した。溶出時間については,6時間では溶出が平衡に達しない場合が認められたが24時間と48時間ではそのような場合は比較的少なく,作業性を重視して24時間が望ましいと考えた。以上のことから,pH4.0の0.4M酢酸緩衝液を用いて24時間の溶出試験を行うことを提案した。
キーワード:溶出試験,金属類,pH,酢酸,溶出時間
廃棄物学会論文誌,Vol.13,No.2,pp.79-88,2002
原稿受付 2001.7.16
*国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
**横浜国立大学大学院 環境情報研究院
連絡先:〒305-8506 つくば市小野川16-2 国立環境研究所
循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 田崎 智宏