ハイドロタルサイト系化合物によるリン除去
――し尿処理水への適応可能性について――
金田一 智 規*・西 村 和 之**・北 尾 高 嶺***・九 澤 和 充****・木 曽 祥 秋****
【要 旨】 高濃度にリンを含むし尿処理水からリンを除去する方法として,ハイドロタルサイト系化合物(HTAL)を用いた吸着(イオン交換)法について検討を行った。HTALは,pH5.5以上で安定したリン除去能を示し,吸着等温線はLangmuir型の修正式で近似することができた。HTALの飽和吸着容量は50.8mg-P/gであり,造粒したHTALでの飽和吸着量はわずかに低い程度であった。1molのオルトリンは,2molのCl-イオンと交換されたが,脱炭酸を行わない場合,3molのCl-イオンと交換された。共存イオンとしての塩素イオンは1,000mg-Cl/L,硫酸イオンは200mg-S/Lまでの範囲では,影響が小さかった。炭酸イオンは相対的に影響が大きく,実排水処理においても影響することが示された。HTALは有機物質や色度成分も吸着した。HTALはリン吸着剤として高い能力を有し,し尿処理水への適用性が高いことが示された。

キーワード:し尿処理水,ハイドロタルサイト系化合物,吸着,リン除去,共存イオン
廃棄物学会論文誌,Vol.13,No.2,pp.99-105,2002
原稿受付 2001.3.7
*北海道大学大学院工学研究科都市環境工学専攻
**独立行政法人 国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
***豊橋技術科学大学建設工学系
**** 豊橋技術科学大学エコロジー工学系
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
独立行政法人 国立環境研究所循環型社会形成推進・
廃棄物研究センター 西村 和之