【論 文】
焼却灰に含有される有害金属類の環境インパクト評価
青井 健太郎*・小野 芳朗**・並木 健二***・山田 亜矢**

【要 旨】 本研究では,一般廃棄物焼却施設から採取した飛灰および主灰について各種の溶出試験と化学物質のリスクに関わる優先度を決定するスコアリングを組み合わせることにより,焼却灰中に含有されるCr, Cd, Pb, Sbの『溶出されやすく,生体内に曝露されやすく,しかも有害な影響をおこしやすさ』を浸出水へ与えるインパクトの強さとして定量的に評価した。その結果,焼却灰の浸出水への影響を評価するためには,二段階バッチ試験とアベイラビリティー試験を組み合わせる必要があることと,埋立て初期のCd,長期間にわたるPb溶出によるインパクトが強いという結論を得た。

キーワード:焼却灰,溶出試験,有害金属,危険度評価,スコアリング
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.3, pp.124-130, 2002
原稿受付 2001.5.9  原稿受理 2002.1.21
* 岡山大学環境理工学部(現 水道機工(株))
** 岡山大学大学院自然科学研究科
*** セイコーインスツルメンツ株式会社
連絡先:〒700-8530 岡山市津島中3-1-1
岡山大学環境理工学部 小野 芳朗