【特集:合意形成】
“市民”†からみた合意形成にむけての課題
中村 恵子*

【要 旨】 社会問題を解決するよりよい地域政策を打ち出すために,行政と政治は大きな役割を担っている。しかし,その政策の打ち出し方が,地域住民を無視した方法で行われた場合,問題を解決するどころか,新たな紛争を引き起こす。この図式は特に,ごみ問題で顕著である。ごみ問題を解決するための政策は,ごみ減量資源化政策と処理処分場政策が2本柱である。どちらの政策も,循環型社会を実現するために,住民と事業者と行政の協働を求めている。そのために情報共有と住民参加を必要条件とし合意形成を図らなければならない。しかし,現実には,その方法,制度が未開発のために,合意形成が困難となる事例が多い。実際の事例を紹介して合意形成が困難となる原因は何なのかを論述することによって,合意形成に向けての課題を整理する。

キーワード:ごみ減量資源化政策,処理処分地立地選定,情報共有,住民参加,合意形成
廃棄物学会誌,Vol. 13, No.3, pp.138-150, 2002
原稿受付 2002.4.19
* 酪農学園大学(環境システム学部)非常勤講師
環境カウンセラー(環境省)北海道環境アドバイザー
市民まちづくり研究会代表
連絡先:〒052-0022 伊達市梅本町24-2 TEL.0142-23-0632