【論文】
浸出水処理施設におけるダイオキシン類の挙動
野馬 幸生*・松藤 康司**・八木 美雄***・高田 光康****・宮地 和夫*****・酒井 伸一*

【要 旨】 浸出水処理施設におけるダイオキシン類の挙動の解明を目的に,処理工程の異なる4施設において各処理工程ごとのダイオキシン類の濃度を調べ,処理工程ごとのダイオキシン類の除去特性および一般水質項目とダイオキシン類濃度との関係について考察した。
原水のダイオキシン類濃度190pg/L〜8,500pg/L(2.0pg-TEQ/L〜130pg-TEQ/L)に対して,処理水の濃度は5pg/L〜120pg/L(0.0067pg-TEQ/L〜1.1pg-TEQ/L)となり,96.6%〜99.1%(97.1%〜99.7%)の除去率であった。凝集沈殿工程での除去率が高く,SS除去に伴いダイオキシン類も除去され,SSとともにダイオキシン類も凝集沈殿汚泥中に濃縮されたものと考えられた。ダイオキシン類の代替となる指標を日常的な分析項目から探したところ,いずれの施設でも各処理工程でSSとダイオキシン類は類似した挙動を示しながら減少した。特に同一施設ではSSとダイオキシン類の間に弱い正の相関が認められた。個々の施設においてSSとの相関性を把握していくことにより,SSがダイオキシン類除去の指標となると考えられた。

キーワード:ダイオキシン類,廃棄物最終処分場,浸出水処理,懸濁物質(SS),凝集沈殿処理汚泥
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.3, pp.151-160, 2002
原稿受付 2001.9.6  原稿受理 2002.2.26
* 国立環境研究所
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