【特集:合意形成】
名古屋市民は,こうしてごみを減らした
――葛藤,協働,また葛藤,そして新たな協働を模索中――
加藤 正嗣*

【要 旨】 20世紀最後の2年間で,名古屋市民はごみ量を23%,埋立量を47%削減した。次期最終処分場計画の断念を契機に,ごみ非常事態宣言,そして容器包装リサイクルに取り組んだ成果だ。文字通りの背水の陣で,市は矢継ぎ早に新ルールを提起した。市民は,一方的となりがちな進め方に不満を持ちつつも,危機感を共有したがゆえに積極的に協力した。「成功させなくては」という市民の思いが強かった分だけ,容器包装リサイクル法の不備による混乱も大きかった。われわれも「苦情こそ最大の情報源」と受け止め,不行き届きながらも誠意をもって臨んだ。真剣なぶつかり合いの中で,市民と市の距離は縮まった。成果を踏まえ,(1)分別・リサイクルから発生抑制へ,(2)本音で持続させる取り組みへ,そのための(3)率直でオープンなごみ行政(市民と行政の合意形成),(4)市民相互の合意形成,(5)市民と事業者の合意形成という課題と,正面から向き合うべき段階に入った。

キーワード:ごみ減量,最終処分場,容器包装リサイクル,発生抑制,合意形成
廃棄物学会誌,Vol. 13, No.3, pp.161-167, 2002
原稿受付 2002.3.7
* 名古屋市環境局ごみ減量部長
連絡先:〒460-8508 名古屋市中区三の丸三丁目1番1号
加藤 正嗣