【要 旨】 焼却によって発生したダイオキシンは焼却残渣(焼却灰および飛灰)に多く残留するため,埋立地における飛散によってダイオキシンが環境中に放出される可能性がある。本研究は,焼却残渣の飛散特性を実験的に明らかにし,飛散を防止するための具体的な目標を与えることを目的とした。埋め立て後の埋立地表面からの飛散は覆土によって容易に制御できるので,焼却残渣投入時の飛散について検討した。
4種類の焼却灰を用い,小風洞による飛散実験を行った。まず乾燥試料で実験を行い,飛散するのは250μm以下の粒子であり,特に125μm以下の飛散率が高いことを示した。次に試料の含水率を調整し,含水率が高くなるとともに飛散が減少し,焼却施設搬出時含水率の50〜70%程度以上に保てば飛散が起こらないことを明らかにした。これは,水分により飛散可能な小粒径粒子が凝集するためである。最後に,安定化処理飛灰の飛散可能性を検討し,小粒径粒子の生成を管理する必要性を示した。
キーワード:焼却灰,飛散,埋立地,粒径分布,含水率
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.4, pp.175-183, 2002
原稿受付 2001.9.20* 北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻
廃棄物処分工学分野
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北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻
松藤 敏彦