【論文】
廃PETのモノマーリサイクル法の開発とライフサイクルアセスメント
山田 悦*,**・松井 言永**・布施 泰朗*・奥 彬**

【要 旨】 ポリエチレンテレフタレート(PET)をモノマーでもあるエチレングリコール(EG)中で加アルカリ分解すると,180℃で15分間という比較的穏和な条件下で短時間内に高純度のテレフタル酸(TPA)とEGを回収できる。本法は,PET廃棄物から金属や色素などの不純物を含まずTPAモノマーを高純度で回収できる方法として有効である。本法のライフサイクルアセスメント(LCA)を行い,資源消費および環境負荷を求めた。廃PETからモノマーリサイクル法によってPET樹脂を製造するプロセスは,原油(ナフサ)からPET樹脂を製造する場合と比較するとエネルギー消費量,排ガス排出量などが少なく環境負荷は小さい。経済コストは助剤だけで25円/kg-PETは必要であり安価とはいえないが,副生成物のNa2SO4をTPAと併せて資源化でき,また輸送コスト削減のため廃PETの回収場所付近に設置可能な解重合装置の開発などを行えば実用化が可能である。

キーワード:ポリエチレンテレフタレート(PET),PETのモノマーリサイクル,テレフタル酸,エチレングリコール,ライフサイクルアセスメント
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.4, pp.201-208, 2002
原稿受付 2001.7.13
* 京都工芸繊維大学環境科学センター
** 京都工芸繊維大学工芸学部物質工学科
連絡先:〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎御所海道町
京都工芸繊維大学環境科学センター 山田 悦