【要 旨】 無機系固体産業廃棄物である廃泥と,有機系固体産業廃棄物であるおが粉を同時に焼成処理することにより,吸着能を有する多孔性材料を合成し,その特性について検討した。廃泥,おが粉と粘土を水とともに目的の組成となるように混合・混練後,押し出し成型し850℃で同時焼成処理した。微細構造観察によると,得られたバルク体は,おが粉由来の炭素からなるハニカム構造と廃泥および粘土の発泡焼成により形成されたマクロ孔をもつものであった。原料の混合組成を変化させ合成したバルク体の評価から,廃泥はバルク体の機械的強度を担い,粘土はおが粉の燃焼抑制を担っていることが明らかとなった。吸着実験の結果,多孔性材料は陽イオン色素であるメチレンブルー吸着能を示した。この吸着能は,焼成後の粘土の構造・性質に大きく依存していることが明らかとなった。
キーワード:固体産業廃棄物,再利用,多孔性吸着材,粘土
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.4, pp.209-215, 2002
原稿受付 2001.7.2
* 名古屋大学難処理人工物研究センター(ResCWE)
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名古屋大学難処理人工物研究センター 伊藤 秀章