【要 旨】 24種類の合成スラグおよび廃棄物からの7種類の溶融スラグを用いてpH4一定条件下で溶出試験を行い,スラグの化学成分,相,結晶組織と酸の添加量および各金属の溶出量との関係を検討した。
pH4一定に保持するために添加した酸の当量は各金属の溶出当量の和に等しかった。塩基度の低い(CaO/SiO2=0.7以下)スラグは酸の消費量が少なく,塩基度が高くなると酸の消費量が急激に増加した。スラグ中に結晶組織や分相が混在するとアルカリ金属,アルカリ土類金属およびPb, Cuなどの重金属類の溶出が増える傾向が認められた。
キーワード: スラグ,溶出機構,都市ごみ焼却灰・飛灰溶融スラグ,塩基度,重金属
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.5, pp.243-252, 2002
原稿受付 2001.6.29 原稿受理 2002.5.7
* 石川島播磨重工業株式会社技術開発本部
総合開発センター環境・化学システム開発部
** 長岡技術科学大学工学部環境システム工学系
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環境・化学システム開発部 田原 賢一