【論  文】

活性炭・アルカリ包括キトサンゲルビーズを用いた廃食用油脂の再生
松 永   旭*・張   成 洛*

【要 旨】 廃食用油脂を食品として利用可能な品質に再生できれば,その排出量が減少して資源と環境の保護に役立つ。そこで,廃食用油脂再生を目的として開発された活性炭・アルカリ包括キトサンゲルビーズを用いて,発生源の異なる多数の廃食用油脂を対象として再生処理実験を行った。その結果,極めて簡単な操作により油脂の劣化の指標であるAV(酸価)を低減可能であり,脱色脱臭作用が認められた。また,水分,POV(過酸化物価),IV(ヨウ素価)などの変化が少なく,家庭用などの小規模廃食用油脂再生処理方法として適していることがわかった。キトサンゲルビーズの調製条件や反応条件などを検討した結果,処理能力を高めるためにはキトサンゲルビーズを破砕して,含水率を50-65%程度にするのが良く,加温や攪拌により処理能力を高めることができた。また,キトサンの代わりに寒天を用いた活性炭・アルカリ包括寒天ゲルビーズ法でも同様な処理能力が得られた。

キーワード: 廃食用油,酸価,過酸化物価,キトサン,寒天
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.5, pp.253-261, 2002
原稿受付 2001.11.8  原稿受理 2002.5.13
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