【要 旨】 土壌・地下水汚染対策を効率的に行うためには,現在および将来の汚染分布を明らかにする必要がある。現状では,ボーリング地点の地下水汚染物質濃度より,汚染分布を推定している。しかし,この推定は点的な情報の単なる補間である場合も多く,地下水汚染の立体的な広がりを正確に表現しているとはいえない。そこで,本研究では廃棄物起因の土壌・地下水汚染現場に数値シミュレーションと電気探査法の一つであり空間的な汚染分布形状の把握が可能な比抵抗法を適用することにより,実汚染現場の地下水汚染分布の把握を試みた。その結果,周辺地形・地質,地下水位および汚染物質濃度を基に構築された数値シミュレーション結果と汚染水の広がりの傾向を表すと考えられる比抵抗分布の形状が類似した。これより,数値シミュレーション結果が現実の汚染分布を良く推定していることが示唆された。さらに,将来予測により,汚染修復対策の必要性を示すことができた。
キーワード: 廃棄物,土壌・地下水汚染,数値シミュレーション,比抵抗法
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.5, pp.279-288, 2002
原稿受付 2001.10.2 原稿受理 2002.5.28
* 北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻
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北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻
廃棄物管理工学分野 石井 一英