【論  文】

カン・ビンの回収におけるデポジット施策の導入に対する消費者行動のモデル化
近 藤 光 男*・吉 田 健 一**・小 田 倫 久***

【要 旨】 本研究は,カン・ビンの回収において,デポジット施策の導入が消費者行動にどのような変化を及ぼすかを分析するためのモデルを作成することを目的としたものである。そのために,まず,効用最大化理論に基づき消費者行動モデルを定式化し,次に,デポジット施策が実施されたときの消費者の行動変化に関する意識調査データに基づいてモデルのパラメータを推定した。意識調査においては,デポジットの方式として既に用いられている上乗せ方式と奨励金方式に加え,新たにこれらの併用方式を提案した。モデル推定においては満足できるモデルが得られ,デポジット施策が導入されたときの消費者行動を推定されたモデルに基づき解説した。その後,このモデルを用いることにより,調査で示したデポジット施策の3方式別に,上乗せ金額や奨励金額の違いによる飲料の購入本数やカン・ビンの返却本数の推定を行うことができることを示した。

キーワード: カン・ビン,回収,デポジット施策,効用最大化,消費者行動モデル
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.5, pp.298-305, 2002
原稿受付 2001.4.3  原稿受理 2002.6.5
* 徳島大学大学院工学研究科エコシステム工学専攻
** 日本フネン株式会社
*** 松山市産業経済部
連絡先:〒770-8506 徳島市南常三島町2-1
徳島大学大学院工学研究科 近藤 光男