【特 集:廃棄物計画論へのアプローチ―廃棄物計画部会活動報告―】
廃棄物計画のシステム化
古 市   徹*(廃棄物計画部会代表)

【要 旨】 循環型社会という新しい社会構造へ移行しようとしている現在,廃棄物管理も個別,場あたり的な計画では対応しきれなくなってきている。しっかりと社会背景の変化や国民のニーズを把握した上で,廃棄物管理に関する社会の運営方針を決める必要がある。このような廃棄物管理に関する社会の運営方針を反映して,制度設計をするのが廃棄物計画論である。本論では廃棄物管理を,廃棄物の発生からリサイクル,最終処分に至るライフサイクルとしてとらえ,物の流れと変換をコントロールすることと考える。制度化するためには,制約条件が多い有限系(循環型)においては,無限系とは異なった複雑・困難な廃棄物計画になることが予想される。複雑・困難な対象に見通しのよい具体的な解を与えるのが,システムズアプローチである。したがって本論では,「循環型共生社会」を例にとって,廃棄物計画のシステム化,つまり廃棄物計画論への試論を試みた。

キーワード: 廃棄物計画,システム化,循環型共生社会,ライフサイクル,環境教育・学習
廃棄物学会誌,Vol. 13, No.6 pp.306-314, 2002
原稿受付 2002.11.13
* 北海道大学大学院工学研究科
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