【展望論文】
疎水性有機汚染物質の溶出試験の現状と展望
金   容 珍*・大 迫 政 浩*

【要 旨】 疎水性有機汚染物質(HOPs)の溶出試験に関してこれまでヨーロッパで行われてきた研究とダイオキシン類の溶出および移動性に関する研究を中心に,溶出試験における影響因子との関連から整理した。また,それらの情報整理を踏まえて,廃棄物およびその処理物,あるいはリサイクル製品の安全性評価を目的とした溶出試験について,溶出試験器具の材質,振とう時間と接触方法,溶媒のマトリックス,固液分離法,温度,固液比,試料の粒径,揮発や光分解性などの観点から,現段階で妥当性のある溶出試験操作および今後検討すべき課題について述べた。最後に,溶出試験における安全性の判断基準を設定する上で留意すべき点として,想定する環境条件と規制レベル,水質環境基準との整合性などの点から論述した。

キーワード: 疎水性有機汚染物質(HOPs),振とう時間,溶媒のマトリックス,固液分離法,固液比,試料の粒径
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.6, pp.341-350, 2002
原稿受付 2001.4.20  原稿受理 2002.7.1
* 国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
金 容珍