【要 旨】 広域処理では,ダイオキシン類発生量の大幅な低減,リサイクルの効率化による環境負荷の削減が期待できる一方で,広域輸送による総輸送距離の増大,大規模な処理施設の建設に関わる環境負荷の増大等が予想される。本研究は広域処理のシナリオを設定し,それによる輸送,中間処理,再生処理を経て埋立処分に至るライフサイクルの環境負荷を定量し,同時に,広域処理ブロックの規模によるサーマルリサイクル,マテリアルリサイクルの環境負荷削減効果を予測したものである。その結果,サーマルリサイクルによる回収可能エネルギーが大きいことから,その導入効果が大きいこと,マテリアルリサイクルによるエネルギー消費削減効果が期待されるが,そのためには質の高い分別が必要であることを明らかにした。一方,広域輸送による環境負荷の増加は処理システム全体からみると相対的に小さいが,質の高い分別を行うための効率的な収集を行うことが必要である。
キーワード: ごみ処理,ごみ輸送,容器包装リサイクル法,広域処理,環境負荷評価
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.6, pp.351-360, 2002
原稿受付 2000.11.27 原稿受理 2002.6.27
* 関西大学工業技術研究所・神戸山手大学
** 広島修道大学人間環境学部
*** 関西大学大学院工学研究科
**** アジア航測(株)
連絡先:〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35
関西大学工学部土木工学科 環境工学研究室 和田 安彦