【論  文】

有料化自治体における不法投棄の状況とその影響要因
山 川   肇*・植 田 和 弘**・寺 島   泰***

【要 旨】 本研究では,全国の有料化実施都市に対する質問紙調査に基づき,有料化にともなう不法投棄問題の実態とその影響要因について検討し,次の結果を得た。1)有料化時に不法投棄の増加が非常に問題となった自治体の割合は4%で,やや問題となった自治体を含めると4割弱となった。またその約9割は現在も問題が継続していた。2)不法投棄されたごみの回収量データが入手できた2自治体の例では,不法投棄ごみ回収量の増加は可燃ごみ減少量の1%未満であった。3)有料化時に不法投棄増加が問題となった自治体のほとんどは有料化以前に不法投棄が問題となっていた自治体であった。4)以前から不法投棄が問題となっていた自治体の中でも,有料化と同時に分別の変更を行った自治体において,不法投棄が問題となりやすい傾向にあった。5)袋価格が高い自治体でやや問題が起こる割合が高かったが,統計的には有意ではなかった。

キーワード: 不法投棄,ごみ有料化,影響要因
廃棄物学会論文誌,Vol. 13, No.6, pp.419-427, 2002
原稿受付 2001.7.7  原稿受理 2002.8.22
* 京都府立大学人間環境学部
** 京都大学大学院経済学研究科
*** 大阪産業大学人間環境学部
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京都府立大学人間環境学部 山川 肇