【要 旨】 水産業,畜産業からは貝殻,卵殻,鶏骨等のCaを含有する廃棄物が発生する。一方で石炭石油などの化石燃料を使用する産業では酸化還元工程でCOが,脱窒工程でNH3が発生する。これらの中には利用されないで廃棄物となるものがある。そこで,Ca化合物とNH3, COの反応により,窒素肥料として最も有用であるCaCN2を合成できれば,産業廃棄物の発生を低減できる。この観点から貝殻,卵殻,鶏骨のNH3, COによる白色CaCN2の合成を試みた。その結果,600℃で,数時間の反応により,貝殻,卵殻からは約20重量%のCaCN2が生成した。鶏骨からは8.0重量%のCaCN2が生成した。CaCN2合成反応は6CaO+6NH3+6CO→4CaCO3+2CaCN2+9H2+N2のように近似できた。
キーワード: 白色石灰窒素,カルシウムシアナミド,貝殻,鶏卵殻,鶏骨
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.1, pp.10-16, 2003
原稿受付 2001.12.28 原稿受理 2002.10.7
* 大分大学工学部応用化学科
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大分大学工学部応用化学科 小川 昌弘