【要 旨】 本研究では,流動床式小型実験炉を用いた模擬RDFの燃焼実験,ならびにその燃焼排ガスを用いた流動反応管による飛灰加熱実験を行い,廃棄物燃焼ガスの冷却過程におけるPCDDs/DFsの生成(二次生成)について,ガス温度や内壁温度,飛灰の付着性の観点から検討を行った。その結果,PCDDs/DFsの二次生成は燃焼ガス中に浮遊する飛灰ではなく,壁面に付着した飛灰が関与した反応であり,慣性や熱泳動により飛灰付着量が多くなる場所からのPCDDs/DFs生成量が多いことを確認した。また,二次生成に起因したPCDDs/DFsの生成量は燃焼ガス中のHCl濃度に比例し,ポリ塩化ビニル(PVC)やポリ塩化ビニリデン(PVdC)のような塩素系プラスチックのみならず,NaClもPCDDs/DFsの塩素源になることを明らかにした。さらに,Cu含有量が少ない飛灰では,飛灰堆積部温度が約200℃でPCDDs/DFsの生成はほとんど認められないのに対し,約300℃ではPCDDs/DFs濃度が増加した。一方,飛灰中にCu含有量が多い場合は,Cu含有量が少ない場合に比べ著しくPCDDs/DFs濃度が増加し,約200℃の温度域でもPCDDs/DFs濃度の増加が認められた。
キーワード: ダイオキシン類,廃棄物焼却炉,二次生成,銅,塩素
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.1, pp.17-26, 2003
原稿受付 2002.5.20 原稿受理 2002.10.7
* 立命館大学エコ・テクノロジー研究センター
** 立命館大学理工学部機械工学科
連絡先:〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1
立命館大学エコ・テクノロジー研究センター 石橋 憲明