【要 旨】 高含水固形廃棄物の減量化,および再利用を目的として,燃焼ガスを用いる熱噴流乾燥機により乾燥実験を行った。被乾燥材料に下水汚泥脱水ケーキ,おから,染色加工工場排水汚泥脱水ケーキを用いた結果,おからおよび排水汚泥の乾燥を行うことができた。熱噴流温度,熱供給量,被乾燥材料フィード量をパラメーターとし,乾燥機熱効率,伝熱容量係数等の測定を通じて乾燥機性能の把握を試みた。実験結果の考察により,(1)本乾燥機による乾燥しやすさは,材料のもつ乾燥特性よりも解砕されやすさの差の影響が大きい,(2)乾燥機伝熱容量係数は,今回の実験範囲では最大約4,000kcal/h・m3・℃といえる,(3)乾燥産物有効粒径や乾燥タンク内平均滞留時間が理論値の数100倍以上であったのは無数の粒子間衝突による,(4)タンク内で材料が十分解砕され得る限界フィード量が存在し,それ以降は乾燥性能が落ちる,といった知見が得られた。
キーワード: 熱噴流,高含水固形廃棄物,汚泥,減量化,乾燥
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.1, pp.43-50, 2003
原稿受付 2002.4.30 原稿受理 2002.11.11
* 東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻
** 荏原実業株式会社環境開発本部乾燥機グループ
*** 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻
連絡先:〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻 林 直人