【論  文】

木質系廃棄物由来木炭・鉄複合材料による屋内の調湿能について
中 西 亜貴夫*・玉 井 元 治*・川 崎 直 人**・中 村 武 夫**・松 本 和 興***・棚 田 成 紀**

【要 旨】 有機性廃棄物のリサイクル手法として炭化過程は簡易で安価な手法である。特に有機性廃棄物中,最も多く産出される廃木材は炭化を通して,有用な木炭としてリサイクル利用が期待される。日本は湿気が多く過去,床下調湿剤として木炭が広く使用されてきた。しかし,木炭は調湿性能が一般的に低く,調湿材として利用する場合,大量の木炭を要する。本研究では,高調湿能付加木炭・鉄複合材料の創製を指向し,鉄の酸化過程を用いて木炭表面を鉄で修飾することで,木炭よりも省スペースかつ高性能な調湿材料,木炭・鉄複合材料(Ch-Fe)を製造した。Ch-Feの調湿性能は最高で従来の木炭の約4倍以上を示し,特に調湿材として最も性能が要求される高湿度領域(相対湿度0.55以上)における調湿性能が向上された。現代社会において重要な問題の一つである有機性廃棄物のリサイクルおよび地球温暖化防止という視点から,Ch-Feは高性能な調湿材として有益な再資源化方法となりうることが示唆された。

キーワード: 有機性廃棄物,廃木材,調湿材,木炭・鉄複合材料,リサイクル
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.2, pp.69-75, 2003
原稿受付 2002.1.21  原稿受理 2002.11.14
* 近畿大学理工学部
** 近畿大学薬学部
*** 聖徳大学人文学部
連絡先:〒577-8502 東大阪市小若江3-4-1
近畿大学薬学部 棚田 成紀