【要 旨】 パンダから分離した耐熱性酵素群を産生する新規な細菌株をGAMブイヨン培地に接種して55℃および60℃で盲目継代を繰り返して高温で増殖する細菌叢を確立し,その高温適応細菌叢を用いて食品関連廃棄物処理の実証試験を行った。高温適応菌を定着させた菌床3kgを入れた家庭用生ごみ処理機にオカラと魚屑を17週間に総計79.7kg,フスマと魚屑を12週間に67.2kg,フスマ,オカラと魚屑の混合物を17週間に100.2kgをおのおの連続的に投入した。その結果,投入重量のおのおのの95.12%, 95.24%, 97.01%が消失し,菌床の温度は最高73.2℃, 72.8℃, 72.4℃に達した。これらの結果から,高温に適応させたパンダ由来細菌叢を用いて,オカラ,フスマなどの食品関連廃棄物を高温で迅速な処理が可能であることが判明した。
キーワード: フスマ,オカラ,食品廃棄物,パンダ由来菌,高温細菌叢
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.2, pp.76-82, 2003
原稿受付 2002.6.17 原稿受理 2002.11.14
* 北里大学医療衛生学部臨床微生物学研究室
** 北里大学大学院医療系研究科環境微生物学研究室
*** アピ(株),新規事業開発部
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北里大学医療衛生学部臨床微生物学研究室 田口 文章