【論  文】

公共的市民公園における啓発板およびごみ箱の種別・有無によるごみ類のコントロール策
張   允 鍾*・河 合 慎一郎*・青 木 誠 治*・中 尾 晋 策**・早 瀬 光 司*

【要 旨】 公共空間としての東広島市立西条中央公園における有効なごみコントロール策を探るため12週間にわたり実験を行った。現場介入実験として,散乱ごみ抑制に一番効果のある均等分散型配置をベースに分別型ごみ箱の設置と分別表の掲示およびごみ箱の撤去とごみ持ち帰りの啓発効果の検証を行った。また,分別率と分別意識,分別知識との関係を探るため実験系の利用者である地域住民を対象にアンケート調査も行った。分別型ごみ箱のみ設置した期間に比べて分別表を同時に設置した期間ではごみの散乱率が大きく減少し,ごみの分別率と混入率の双方とも改善が見られ,分別表の設置が望ましいことがわかった。ごみ箱を撤去したところ,ごみの散乱量はやや増えたが,啓発パネルの掲示により散乱増加量は大きく減少した。ごみ箱を撤去し,啓発パネルを掲示することは,管理されている公共空間ではごみコントロール策として有効であることがわかった。アンケート調査からは仮想分別率,仮想混入率を算出し,ごみ問題への関心の高さやごみ分別意識の強さと分別知識には相関のないことがわかった。

キーワード: 市民公園,啓発板,ごみ箱の種別,ごみ箱の撤去,散乱ごみ
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.2, pp.83-92, 2003
原稿受付 2002.5.27  原稿受理 2002.11.15
* 広島大学大学院生物圏科学研究科
** 広島大学総合科学部
連絡先:〒739-8521 東広島市鏡山1-7-1
広島大学総合科学部 早瀬 光司