【特 集:土壌汚染対策】

汚染土壌等の共通試料による精度管理調査について
鈴 木   茂*・貴 田 晶 子*・酒 井 伸 一*・森 田 昌 敏**

【要 旨】 土壌汚染対策法(平成14年5月29日公布)に基づき新たに設定された含有量基準に係る検定方法を基本にした測定方法に準じ,汚染土壌等の共通試料を対象として,19機関の機関間の分析精度を調査した。共通試料には,汚染土壌3試料と有効利用されている廃棄物2試料(スラグ)を用い,六価クロム,水銀,鉛,カドミウム,ヒ素,ホウ素,フッ素の7項目について評価した。土壌試料の六価クロム,鉛,カドミウムの機関間標準偏差は10〜20%であった。土壌試料のヒ素,ホウ素,フッ素の標準偏差はそれぞれ約30%, 30〜80%, 30%であった。廃棄物試料中の鉛およびヒ素の標準偏差は土壌中のそれらより高かった。高濃度試料と低濃度試料における測定値の変動はあまり変わらなかった。

キーワード: 土壌汚染対策法,機関間の分析精度,土壌試料,六価クロム,水銀,鉛,カドミウム,ヒ素,ホウ素,フッ素
廃棄物学会誌,Vol. 14, No.2 pp.93-104, 2003
原稿受付 2003.2.10
* (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
**(独)国立環境研究所
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 鈴木 茂