【特 集:産業廃棄物税】
産業廃棄物税のあり方について
――税法の観点から――
碓 井 光 明*

【要 旨】 産業廃棄物に対する課税が広がっているなかで,法学的観点からの検討を行う。財政収入を目的としない金銭負担を法律により課すことは,憲法の人権保障規定に違反しない限り許容される。また,地方公共団体の収入の類型が地方自治法に列挙されているが,それは,限定的に解すべきではなく,列挙されていない金銭負担も許容される余地がある。産業廃棄物の排出等に対する金銭負担の賦課も許容される可能性がある。租税の扱いをするときは,国税通則法とか地方税法の適用を受けることは当然である。したがって,地方税の場合は,法定外税の要件を満たさなければならない。法律主義(地方公共団体の場合は条例主義)の適用を受けることにおいては,租税であれ,租税の名称をもたない強制的金銭負担であれ,同じである。負担能力に応じた負担原則の観点からみた場合,抑制目的の金銭負担が違憲とされるのは,人の生存をおびやかすような重い負担の場合である。抑制効果の実効性の確保との関係で,比例原則に適合する負担の程度を求めなければならない。

キーワード:産業廃棄物税,課徴金,法定外税,比例原則
廃棄物学会誌,Vol. 14, No.4 pp.194-201, 2003
原稿受付 2003. 6. 9
*東京大学法学政治学研究科
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