【研究ノート】
クロロビフェニルおよびクロロトルエンの脱塩素反応における選択性
浮 須 祐 二*・宮 寺 達 雄*


【要 旨】 芳香族塩素化合物の脱塩素特性に及ぼす置換基の影響について調べるため,クロロビフェニルおよびクロロトルエンの一塩化,二塩化各種異性体の脱塩素反応を,水酸化ナトリウムを溶解した2-プロパノール中,担持パラジウム触媒(Pd/C)の存在下40℃で行った。クロロビフェニルの脱塩素反応では,2-位(オルト位)の反応性は3-位(メタ位),4-位(パラ位)の塩素に比べて著しく低かった。これに対し,クロロトルエンの脱塩素における位置選択性はクロロビフェニルほど顕著ではなかった。この差異は,置換基(フェニル基,メチル基)の立体的効果に起因するものと考えられた。


キーワード:クロロビフェニル,クロロトルエン,脱塩素,選択性,パラジウム触媒
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.4, pp.228-231, 2003
原稿受付 2002.11.18  原稿受理 2003.5.21
*(独)産業技術総合研究所 エネルギー利用研究部門
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(独)産業技術総合研究所(つくば西)エネルギー利用研究部門
浮須 祐二