【論 文】
凝集沈殿処理によるダイオキシン類の除去特性
田 路 明 宏*・楠 田 哲 也**
【要 旨】 浸出水に含有されているダイオキシン類除去手法を確立するために,凝集沈殿処理による除去特性を検討した。検討を容易にするために,まずダイオキシン類の模擬物質を選定し,これを凝集処理し,得られた結果からダイオキシン類の挙動を推定,処理特性を明らかにすることを試みた。ダイオキシン類の模擬物質としてペンタクロロベンゼンを水道水と浸出水に添加した実験により,溶解度以下まで除去可能であることを確認した。特に処理を複数回実施することにより,さらに低濃度まで処理することが可能であることを明らかにした。PCDDs/PCDFsを水道水と浸出水に添加した実験においても推定通り模擬物質と同様の結果を得た。各異性体いずれも溶解度以下まで除去可能であり,処理水として現在の基準を十分に満足するまで処理可能であることを示した。このことを実施設における運転においても検証した。以上のことから,凝集沈殿処理により浸出水中のダイオキシン類を十分除去可能であり,また,ペンタクロロベンゼンを模擬物質としてダイオキシン類の凝集沈殿処理での挙動を把握することが可能であることを明らかにした。
キーワード:浸出水処理,ダイオキシン類,凝集沈殿,最終処分場,模擬物質
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.5, pp.239-247, 2003
原稿受付 2002.5.13 原稿受理 2003.5.29
* 神鋼パンテツク株式会社環境装置事業部
** 九州大学大学院工学研究院
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神鋼パンテツク株式会社環境本部 田路 明宏