【特 集:循環型社会形成推進基本計画】
循環型社会形成のための物質フロー指標と数値目標
森 口 祐 一*


【要 旨】 平成15年3月に閣議決定された循環型社会形成推進基本計画には,物質フローに着目した目標と,循環型社会形成に向けた取組に着目した目標が導入された。その背景として,環境基本計画がこの計画に対して数値目標の策定を求めていたこと,数値目標の導入や物質フロー指標開発の国際的な進展があげられる。数値目標の検討作業は中央環境審議会の部会を中心に行われ,計画の骨格に関する意見具申の中で述べられた「物質収支を踏まえた」指標を用いて,入口・循環・出口の3つの断面をとりあげた数値目標が決定された。これらの目標は「天然資源の消費抑制と環境負荷の低減が図られる循環型社会の実現」という上位目標を踏まえたものであり,大量循環を目指すものではない。これら目標設定の概要とともに,数値目標の策定に用いた物質フローモデル,入口の指標として採用された資源生産性指標の構造分解,その他いくつかの技術的論点についても紹介する。


キーワード:循環型社会,数値目標,指標,物質フロー,資源生産性
廃棄物学会誌,Vol. 14, No.5 pp.242-251, 2003
原稿受付 2003.8.22
* (独)国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
循環型社会形成システム研究室 室長
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2