【論 文】
多組成廃棄物の必要サンプリング重量の推算とばらつきを考慮した試験値の判定方法
田 崎 智 宏*・浦 野 紘 平**
【要 旨】 従来のサンプリング方法による試験値のばらつきの推算式は,廃棄物を単一組成とみなしたものであり,多組成廃棄物に適用するには十分なものではない。本研究では,前報によって理論的に得られた多組成廃棄物の推算式を4種類の多組成廃棄物に適用してその必要サンプリング重量を求めた。その結果,特に多組成度が高くばらつきやすい廃棄物を環境庁告示第13号の溶出試験に適用する場合には,採取重量が25kg,分取重量が110g,それぞれ必要であることがわかった。しかし,このときの試験値の変動係数は1.1であり,多組成廃棄物の現実的なサンプリング状況下ではこの試験値のばらつきを許容せざるを得ないことが判明した。そこで,ばらつきを考慮した試験値の統計的判定方法を検討したところ,試験を5回繰り返した場合に試験の平均値が判定基準値の0.6倍未満でなければ,10%以上の確率で判定基準値を超過することがわかった。
キーワード:サンプリング,多組成廃棄物,サンプリング重量,溶出試験,統計的試験判定
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.6, pp.303-311, 2003
原稿受付 2003.2.12 原稿受理 2003.8.1
*(独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
**横浜国立大学大学院環境情報研究院
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(独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 田崎 智宏