【論 文】
仮想評価法による廃棄物管理政策の評価
神 崎 広 史*・寺 門 征 男**
【要 旨】 行政サービスの量や質に影響する事業,多額の費用がかかる事業など住民生活に大きな影響を与える事業については,政策形成過程において住民の意向を正確に把握し,これを実際の政策に反映していく必要がある。本論文では,仮想評価法を用いて,千葉市における容器包装廃棄物の分別収集についての政策ニーズを明らかにするとともに,住民が負担可能な分別収集経費の額を算定することにより、分別収集事業の実施可能性を検証した。また,アンケート調査結果を用いて,千葉市の廃棄物処理事業全体に対する支払い意思額を尋ね,住民の評価額と実際の事業費との差異が大きいことを明らかにした。この二つのケーススタディを行った結果,価値評価を通じて政策合意の可能性を把握できるという仮想評価法の特性を引き出すことにより,仮想評価法が廃棄物管理政策の立案および政策評価に有効に活用できる手法であることがわかった。
キーワード:仮想評価法,アンケート調査,政策立案,容器包装リサイクル,費用負担
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.6, pp.320-328, 2003
原稿受付 2003.2.21 原稿受理 2003.8.6
* 千葉市環境局
** 千葉大学教育学部 教授
連絡先 〒260-8722千葉市中央区千葉港1-1
千葉市環境局環境管理部環境事業総務課 神崎 広史